言葉には人が出る。表方ならなおさらだ。

『いとこが来る月曜日(祝)』於 産業商工会館展示場 (杉並区) だいたい19:00-21:30

  • メンバー
    • フランスピアノなかがわ
    • レッドブルつばさ
    • Gパンパンダ一平
  • ゲスト
    • かが屋加賀
    • ストレッチーズ高木

 各々がテーマを提示してそれに対して語り合うトークセッションライブ。初めて行ったのだけれど、いわゆるトークライブではなくて議論寄り。「喫茶店で話す内容だよ」って何度か高木が言ってましたが、そのモードに入っている様自体がエンターテインメントになっている…とか言いつつ、単純にそういうのが大好物。各人のテーマ設定も興味深いし、話を深めていく中で共感したりしなかったりというのがスリリングな感じでした。
 タイトルはフリッパーズ・ギターの「Hello(いとこの来る日曜日)」より。助詞を変えているのは意図的なのかしら。あとライブ中もずっとフリッパーズがかかっていたのですが、コンピも含めた4枚からランダムでした。1st.だけでも良かったんじゃないかとか、時間考えるとオリジナルアルバム3枚とかでも良かったんじゃないかとか思ったりしました。細かくてすまぬ。
 録音録画書き起こしOKとのことです。2時間半というボリュームなので、レポは各々が印象に残った部分を書くと思います。わたしは途中のポエムコーナーについて書きます。テーマは「モノクロ」。ジャンケンで勝った順に発表。ちなみにテーマの一つに"じゃんけんという遊び"というものがあったので良い流れでした。
 順番は高木→加賀→つばさ→一平→なかがわ。互いの投票で加賀が3票獲得。高木のみ横書き,加賀は色紙を横に,なかがわのみルーズリーフ(曰く「初回に色紙を忘れたことを正当化するため」)。細かくてすまぬ。
 "昨日谷川俊太郎を読んで勉強してきた"高木が「左脳で書いた」と評されていたり、加賀が「かが屋のコントだ」と言われていたり、レッドブルつばさの余白に感心していたり、互いの評が面白かったですね。予約番号での観客プレゼントの際、2人先に選ばれやや焦っていた加賀が、3番目に当たった観客と目が合い「かが屋のお客さんです」とテンションが変わったところが個人的なポイントです。

以下引用。写真を観て書いているので、改行の幅は大体です。

おじいちゃんが昔の写真を見せてくれた
若い2人のモノクロ写真
でも おじいちゃんが話しだすと
写真にきれいな色がつく.
思い出を話す言葉たちが
やさしい色をつけていく

僕にもあなたの写真を1枚
モノクロ写真で撮らせてほしい
きっと将来いつの日か
やさしい色がつけられるから
         ストレッチーズ高木

  「日記」
   昭和37年が
   つまり何年なのか
   僕には分からないけど
   とても昔の今日
   うちにテレビが
   きたらしい
   この日のおばあちゃん
   字が汚くて早くて濃い
        かが屋加賀

世界から色が消えた
こんなんじゃ横断歩道も渡れない

どうにもならない今日は
名作映画を見ている気分でも
味わおうか


       レッドブルつばさ

モノクロ         一平

この世を全部モノクロにして、
絵の具を渡されたら、
何色に塗りますか。

好きなものを好きな色にして、
嫌いなものを嫌いな色にしたら、
世界が美しくなるのかな。

好きな色に囲まれた生活。

でも、
子供の頃 ナスに色を塗ってたら、
ナスの色は変わってなかったな。

「モノクロ」
母親の身体から この世に到着した瞬間、
きっと眩しくて世界は真っ白に見えただろう。
おぎゃーと叫びながら慌てて目を閉じると
柔らかいまぶたの裏は真っ黒だっただろう。

人はまず、白と黒を覚える。

はじめの白をキャンバス、
次の黒をインクにして、
この世の、自分の輪郭を描く。
色なんて、後からでいい。

塗り絵とか言って、
誰かに渡しちゃえばいいんだ。

あとはうまい人が勝手に塗ってくれる。
輪郭だけ、こだわればいい。


         中川諒